自費診療

自費による診療内容について

緊急避妊(緊急避妊ピル)

避妊せずに性交渉があったり、性交渉の途中でコンドームが取れたり、破れたり、また、あなたの承諾なしに性交渉をされ、避妊していなかったりした場合、妊娠を防ぐ可能性のある最終手段として緊急避妊薬(EC)、アフターピルがあります。モーニングアフターピルとも言われますが、性交渉の翌朝に飲む薬ではなく、morning afterは二日酔いとか、喧嘩した後の後悔する時期の意味があり、morning after pillで緊急避妊薬という意味になります。

この薬は黄体ホルモン(レボノルゲストレル)の製剤で、性交渉後72時間以内に、薬を飲むことで、排卵を遅らせることにより妊娠を避けることができます。

当院の緊急避妊薬と薬剤費用(税込)

ノルレボ錠1.5mg:1回1錠内服 15000円
レボノルゲストレル錠1.5mg「F」:1回1錠内服 6500円
プラノバール:4錠を2分割 12時間おきに2錠内服 4400円(日曜休日 5500円)

プラノバール4錠を2分割で飲む方法はヤッペ法といい1970年代から使用されていますが、2回飲むので吐き気などの副作用が少しだけ多いといわれています。

FD-1挿入器具の一部
ノルレボ錠1.5mg
FD-1挿入器具の一部
レボノルゲストレル錠1.5mg

当院では、現在、初診で対面の上で処方しております。保険証か身分証をご持参ください。男性には処方はいたしておりません。72時間以内に飲む必要があるため、早めに診療予約の上、時間内に受診してください。なお、時間外、深夜でも処方可能ですが、受診料金が高くなります。

English drug instructions are available at our clinic.

緊急避妊薬を飲む
必要のある場合とは

  • 避妊を全くしなかった性交渉
  • 経口避妊薬の飲み忘れが3日以上あり、その後の性交渉で避妊に失敗した場合
  • 膣外射精などの不確実な性交渉
  • コンドームが破れた、途中で取れた、コンドームがずれた等
  • その他の避妊器具の不確実な装着、破損、脱落等
  • レイプや性的暴行など、承諾無しで行われた性交渉

レイプや、承諾無して性交渉が行われた場合は、直ちに警察へ電話(性犯罪相談ダイヤル 「ハートさん」:0120-8103-39)もしくはお近くの警察署へ駆け込むか、性暴力被害ワンストップ相談支援センター(京都なら京都SARA)に電話相談されることをお勧めします。緊急避妊薬処方の補助が出ることがあります。

緊急避妊薬で
大切なこと

性交渉の後、72時間以内に内服すること

処方されたら速やかに食事と関係なく飲んでいただきます。
72時間以内の妊娠を阻止できた割合は81〜84%と言われています。12時間以内では約90%の避妊率とされています。
72時間以上経った場合も、ある程度妊娠率を低下させるというデータもありますが、子宮内避妊リングの使用が勧められる場合もあります。ご相談ください。

投与できない場合があること
  • 過去に緊急避妊薬を飲んで、何らかの過敏症が出たことのある人
  • 重篤な肝機能障害、心臓疾患、腎臓の疾患のある人
  • 妊娠中の人

緊急避妊薬は、妊娠中に飲んでも、妊娠を避けたり、中断することができません。生理の周期が規則正しくあり、明らかに予定の生理の前の場合は、すぐに飲むことができますが、月経不順の人や、予定の月経が明らかに遅れている場合は、妊娠の可能性もあるので、診察が必要です。

内服後の嘔吐に注意

この薬の副作用は吐き気(2.25%)、嘔吐、腹痛が主なものです。薬を飲んでから2時間以内に吐いてしまった場合は、薬が吸収されていない可能性があるので、もう一度受診する必要があります。

生理の状態は? 3週間後の再診の必要性

通常はこの薬を飲んでから3週間以内に生理が来ることが多いです。また、正常妊娠の場合でも、妊娠初期に少量の出血のあることはよくあるので、3週間待っても生理がない場合や、その生理が明らかに普段の生理と異なり、生理量の多い少ない、生理期間の長い短いがあった場合は受診が必要とされます。その後の避妊法の相談も兼ねて、受診されることをお勧めしております。

その後の避妊について

緊急避妊薬の内服後、確実な避妊が望まれます。この薬は排卵をずらす事により避妊効果があるとされているので、排卵前や排卵時期に飲むことが多いですが、一旦飲んで安心して、また避妊せずに性交渉を行ってしまうと、その結果として妊娠することがよくあります。次回の生理までは性交渉を避けることが必要です。どうしても性交渉を避けることができない場合は、翌日から経口避妊薬(OC)を飲んだ方がよいとされています。

コンドームによる避妊の失敗確率は海外のデータでは2〜18%と言われています。性感染症を防止するためにはコンドームは有効ですが、避妊方法としては、あまり有効ではなく、やはり経口避妊薬(OC)の利用をお勧めします。

避妊相談:経口避妊薬(OC・ピル)
・子宮内避妊器具(IUD)・不妊手術

避妊の手段として、現在日本で使用されているのは

バリア法 コンドーム・女性用コンドーム・避妊用ペッサリーなど、現代日本ではコンドームのみが広く使用されています。避妊率約85%程度、性感染症予防には有効
経口避妊薬 黄体ホルモンと卵胞ホルモンを配合した薬で排卵をおこさないようにする方法。避妊率 約99.7%(きちんと内服した場合)
子宮内避妊器具(IUD) プラスチック製の小さな器具を子宮内に挿入して、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ方法。避妊率 約97%
不妊手術 手術で卵管や精管を塞ぐ方法、当院では帝王切開手術の際に、これ以上の妊娠を希望されないご夫婦に対し、両側卵管結紮術(内田氏法)を行なっております。避妊率 約99.5%

当院ではその方に合わせた避妊方法を相談の上、お勧めしております。

経口避妊薬(OC・ピル)

一般的にピルと呼ばれている避妊法で、少量の女性ホルモンと黄体ホルモンを含んだ低用量ピルを毎日1錠ずつ飲むことで、排卵を抑制することにより、最も確実に避妊できます。正しく使用した場合の避妊率は99.7%と言われていますが、世界的な統計ではピルによる妊娠は飲み忘れの場合もあるので8〜9%の妊娠はあると言われています。

当院では6種類のピル(21錠タイプ1種、28錠タイプ5種)を使用しており、患者さんに合わせたピルをお勧めしております。

価格(1シートあたり) 2500円から3000円(税別)
初回指導料 1000円(緊急避妊薬投与後と人工妊娠中絶術後を除く)
ピルの利点
  • 排卵を抑制することにより非常に高く、安全性の優れた避妊効果
  • 生理が規則正しくほぼ28日型できます。月経の不規則な方に有効です。
  • 生理の量が減ります。過多月経の方に有効です。
  • 生理の量の減少に伴って、生理痛が軽くなります。生理の際の痛み止めが不要、もしくは減量できます。
  • 低用量のピルであるため、月経に伴うホルモンの減退が緩やかになるため、月経前の諸症状(月経前緊張症、月経前の頭痛など)が軽くなることが期待されます。
  • テストステロン産生を抑制するなどの作用により、ニキビを改善する効果があります。
  • 長期間飲んでも将来の妊娠に対する影響はありません
  • 卵巣がんや子宮体がん、大腸がんなどのガンのリスクが減少します。
  • 子宮内膜症の進展が抑えられる症例があります。
ピルの欠点と副作用

飲み始めに少量の出血が持続すること、もしくは、飲み始めの生理が長引くことがあります。3ヶ月くらいでこの出血は減少します。

飲み始めにムカつきや気分変動が生じることがあります。これも3ヶ月くらいで慣れてくると言われています。ピルには数種類ありますので、メーカーを変えれば軽減することもあります。勝手に中止せず、ご相談ください。

女性ホルモンと黄体ホルモンの作用として、むくみや体重増加が非常に稀に生じる可能性はあります。ほとんどの場合は増えず、増えても1kg以内が多いです。副作用なので、統計に表れない範囲で、極少数ながら(0.1〜5%)体重増加がある人はあります。当院ではピルの受診時には体重、血圧測定を毎回行っております。体重増加の増えにくいLEPに変更することも可能です。

ピル服用者携帯カード非常に稀に生じる重症の合併症として血栓症があります。発生率は妊婦・産褥夫人よりはるかに少ないです。しかし、ピル内服中に今までに経験したことのない激しい頭痛や、胸痛、息苦しさ、腹痛、舌のもつれ、視野の障害、喋りにくい、手足のしびれ、ふくらはぎの痛みがあった場合は、直ちにピルを飲むのをやめて電話連絡してください。このような症状はピルの飲み始めの4ヶ月以内に生じやすいとされております。救急処置が必要となる場合もありますので、ピルはネットでなく居住地の近くの産婦人科医療機関で貰うようにしましょう。ピルを飲み人にはこれらの注意書きが書かれたカードをお渡ししています。

ピルの注意点
    • 一番最初にピルを飲み始めるのは原則として生理の開始日からです。夜間に生理が始まった場合には翌日に飲み始めても、一日ずれてもいいです。以後は決められた通りに休薬期間を挟んで飲み続けます。
    • ピルは毎日一錠ずつ飲みます。決められた時間に必ず飲まねばならないことはありませんが、人間は忘れやすい動物なので、習慣づけた方がいいので、できれば一日の中で飲む時間を決めておきましょう。でも、朝飲み忘れたら、その日のうちに一錠飲めば良いです。
    • 低用量ピルでは、女性ホルモン量が少ないため、稀に生理の来ない場合もあります。2ヶ月間、生理がない場合は受診してください。
    • ピルには性感染症を防ぐことはできないので、感染予防のためにはコンドームの使用が有効です。
    • 長期間のピルの使用によって子宮頸がんのリスクが少しだけ増加するというデータがあります。当院では毎年の子宮がん検診を勧めております。
    • ピルはホルモン剤のため、他のほとんどの薬剤と同様に肝臓で代謝されます。年一回程度の肝臓機能のチェック(採血検査)を勧めております。定期的な職場の健康診断でも良いです。
    • ピルの飲み忘れの場合(旅行・出張などに持っていくのを忘れる場合が多い)1錠飲み忘れた場合は飲み忘れた日の錠剤をなるべく早く飲んで、その後で当日飲む錠剤や次の日の錠剤は予定通り飲みます。2錠以上飲み忘れた場合は忘れた日の錠剤を1錠なるべく早く飲み、残りの錠剤は決められた通り飲みます。その後一週間はコンドームなどで確実に避妊します。

京都旅行に来て忘れた場合も、気軽に受診して下さい。

  • 長時間の外科手術や内科的、精神科的な薬剤と併用する場合は飲みあわせの問題が生じる場合があります。内科や他の診療科に受診する際は、ピルを飲んでいることを申告するか、ピルをお渡しした際のカードをお示し下さい。
  • ピルは初経発来時より内服可能ですが、骨成長に影響がある可能性があるので、18歳以下の若年者では身長の伸びが止まってから、内服可能となります。
  • 35歳以上で一日15本以上タバコを吸っている人は、ピルを飲むと心筋梗塞になる率が20.8倍となるデータがあるため、これらの人ではピルは飲めません。それ以下の喫煙でも血栓症のリスクが高くなるため、ピルを飲む場合は禁煙した方がいいです。当院では禁煙治療もピルの処方と並行して行っており、一時的な禁煙成功率は自分だけで禁煙するより高いです。
ピル服用と心筋梗塞発祥の相対危険度

子宮内避妊器具(IUD)

子宮内に小さなプラスチックの器具を入れることで、避妊を行う方法です。避妊効率は高く、正しい位置に入っていれば97%〜99.8%の避妊効果があります。日本では歴史的には太田リングが有名で、IUDを避妊リングとも称されます。ところで、子宮内にIUDといった異物を入れるとなぜ妊娠しないのか、受精卵の着床を阻害するからと考えられていますが、本当のところはまだわかっていません。

現在、日本では3種類のIUDが使用可能です。当院では主としてFD-1とミレーナ52mg(黄体ホルモンを付加したIUS)を主に取り扱っております。

FD-1挿入器具の一部
FD-1挿入器具の一部
ミレーナ52mg
ミレーナ52mg

当院の子宮内避妊器具(IUD)の費用(税込)
FD-1挿入 3年で交換 22,000  
FD-1抜去   8,800  
FD-1交換 3年目 27,500 FD-1抜去と挿入を1回で済ませた場合
ノバT 挿入 3年で交換 33,000  
ミレーナ挿入(自費) 5年で交換 49,500 保険適応外(避妊目的)の場合
IUDの利点
  • 一度装着すれば、3〜5年の間、避妊効果が持続します。
  • 毎日薬を飲む煩わしさがありません。特にお子さんがいる家庭では種々の事情で薬の飲み忘れもよくあるので有効です。
  • 年間の費用はピルよりも安価です。
  • ミレーナには黄体ホルモンの作用で子宮内膜が薄くなり、生理の量が少なく、生理痛を軽減する作用があります。このため、過多月経の方には保険適応があります。
  • 体重増加とは無関係で、喫煙とも無関係です。
  • 性交渉には全く影響はありません。
IUDの注意点
  • 100%の避妊効果ではありません。
  • 産婦人科医療機関で母体保護法指定医師が挿入する必要があります。
  • 挿入後に数日間、少量の出血、腹痛が生じることがあります。
  • 卵巣機能には影響がなく、卵巣からは排卵が生じるので、月経不順や月経前の症状は改善しません。
  • 子宮内腔の形状の異常や子宮粘膜下筋腫ではIUDがずれやすいことがあります。ずれると避妊効率が低下します。
  • ミレーナでは78.6%に月経異常などの子宮出血が認められます。少量の出血が長期間持続することもあります。
  • 性感染症とは無関係です。感染予防のためにはコンドームの使用が有効です。

IUDは妊娠していない時期に子宮内に挿入します。当院では、子宮に大きな病変のない経膣分娩を経験された経産婦さんに挿入することを原則としております。希望される方は月経終了後、直ちに受診して下さい。膣の中に感染症があると、子宮内感染を生じる可能性があるので、おりものの多い方は検査、治療の後に挿入となることがあります。挿入自体は外来にて、5分程度でできます。

生理の際の子宮筋の収縮により、子宮内腔の広さによってはIUDがずれてしまうことがあります。その結果、IUDの影響のない子宮内膜の部位に受精卵が着床する可能性が出てきます。したがって、IUD装着後の第1回目の生理の後にIUDがずれていないかを確認するために受診をしていただきます。FD-1、ミレーナ共に糸が付いているので、診察すればわかります。その後は、できれば3ヶ月おきに1年目まで、それ以降は一年に一回の定期検診を勧めております。

IUDはFID−1では3年おきに、ミレーナでは5年おきに交換することになっております。45歳以上の婦人では除去のみを考慮してもいい場合があります。

不妊手術

両方の卵管を手術で閉塞、結紮、切断することにより、避妊を行うものです。当院では帝王切開手術の際に、以後の妊娠を希望されない場合にのみ、両側卵管結紮術(内田法)を行なっております。この方法は卵管を一部切除し、断端を腹腔内と腹膜下(腹腔外)に分けて処理する方法で、通常の単なる卵管結紮術よりは避妊効果は高いとされております。前もってご夫婦の同意書が必要です。この手術によって入院期間が延長することはありません。

卵管結紮術全体の避妊効果は99.5%と言われています。

卵管結紮術を行なった後に妊娠を希望されても、卵管の再建は困難です。体外受精などの手段が必要となります。

月経移動

旅行、温泉、海水浴、試験、仕事、スポーツの大会、受験、結婚式などで生理のタイミングをずらしたい場合があると思います。そんな時は一時的にホルモン剤を飲むことで、生理をずらすことができます。通常は一週間程度なら、ほぼ確実に生理を移動させることができます。

大規模なスポーツ競技や各種大会(ダンス、バトントワリング、チアリーディング等)でもドーピングにならない薬剤を使用しますので利用可能です。

費用 1回 3000円(税込)

生理を早める場合

予定の行事が次回の生理周期の後半にある場合に有効な方法です。生理開始の3〜7日目から10〜14日間ホルモン剤を一日1錠内服します。服用終了後、2〜5日で生理が始まります。この生理の期間は通常の生理期間よりやや短めにとなることが多いです。この方法の利点は行事の最中にホルモン剤を飲まなくても良いので

  • 薬剤による副作用(吐き気など)の影響のない状態で行事に望める
  • 飛行機で長時間移動の予定がある場合も、ホルモン剤服用中に非常に稀に生じる可能性のある血栓症の懸念を除去できる

ことです。欠点としては、行事のある月経周期より、一ヶ月前の周期に受診していただく必要があり、急な予定の行事では困難です。

生理を早める場合

生理を遅らせる場合

予定の行事が、現在の生理周期に被りそうな場合は、生理予定日の3〜5日前からホルモン剤を飲み始め、生理を避けたい日まで飲みます。飲み終えてから2〜5日で生理がきます。おおよそ7日〜10日間ならずらすことが可能です。14日以上の場合は、稀に飲んでいる最中に生理が生じることもあります。急な予定の行事でもある程度対応できる点が利点です。欠点としては行事の最中にも薬剤を飲む必要があるため、稀に吐き気やだるさなどの副作用が生じる可能性があること、長時間の飛行機旅行などでは水分補給と足の運動を心がけていただく必要があることなどです。

生理を遅らせる場合

当院では、実際に生理の周期や、行事の内容、日程を勘案して薬剤(中容量ピルまたは黄体ホルモン剤)と飲む期間をオーダーメイドで決めてから処方します。大切なのは飲み忘れないようにすることで、1日1-2錠必ず飲んでいただく必要があり、飲み忘れると途中で生理が生じることがあります。特に時差のある海外旅行では確実に飲むことが必要です。

生理痛や生理前の症状がきつく、行事の際にそれを避けるために生理の移動を希望される方、来年受験準備の方、年数回から十数回も出張や競技があり、そのたびに生理をずらしたい方は、前もって経口避妊薬(OCもしくはLEP)を使用して、その内服期間を調節することにより容易に生理をずらすことが可能となります。生理痛などの症状も軽減されますので、前もってピルを飲み始めることをお勧めしております。この場合も、ピルの飲む期間、止める期間などのご相談に応じますので、お気軽に受診してください。

人工妊娠中絶

妊娠された場合でも、母体の健康状態や何らかの社会的、経済的理由により、どうしてもあかちゃんを出産できない場合もあります。妊娠11週6日までを初期の人工妊娠中絶術、それ以降、妊娠21週6日までを中期中絶に分かれます。当院では両者とも入院扱いで、可能です。人工妊娠中絶術は、子宮内の妊娠が確定後に、母体保護法に基づき、必ず配偶者(パートナー)の同意書(未成年の場合は親権者の確認、連絡先も記入)を得ていただき、必要な術前検査を行ってから手術日を決めて行います。

おりものの多い方は性感染症検査を行い、病原体が見つかれば、なるべく治療後に手術を行うことをお勧めしております。

予期しない妊娠による人工妊娠中絶では手術前に当院スタッフが患者さんに詳しくお話を伺い、心のケアも大切にしております。

初期人工妊娠中絶

分娩経験のない方、前回分娩が帝王切開分娩などで子宮の入り口が開きにくい方は子宮頸部を開く前処置が必要です。手術は午前中に行い、静脈麻酔で、約5分〜10分程度の手術で日帰り入院となり、午後に麻酔が覚めてから帰宅、安静していただきます。手術の翌日に出血の確認のために受診していだだきます。手術の後も出血や排卵の確認のために外来通院が数回必要です。手術費用は自費となり、手術前にお支払い願いますが、この中には術後3回までの通院費用と経口避妊薬(ピル)の処方説明料も含みます。当院では手術を受ける方の安全とプライバシーの確保のために一日1件の手術に限定して行なっております。土曜日も手術可能です。

初期人工妊娠中絶術の費用(税込)
術後3回通院費用と経口避妊薬処方説明料を含む

妊娠9週6日まで 121,000円(税込)
妊娠11週6日まで 132,000円(税込)
初期人工妊娠中絶の流れ
  1. 妊娠診断
    問診を含めた診察、内診、超音波検査、尿検査などから子宮の内に妊娠していることを確認します。
  2. 手術前の準備
    手術の説明とともに、手術日を決めます。同意書をお渡しし、手術前の血液検査、必要に応じて帯下のクラミジア・淋菌の検査を行います。手術日は、検査結果が出てからとなるため、検査後3日目以降になることが多いです。
  3. 手術前日
    分娩経験のない方、前回分娩が帝王切開分娩の方、高齢の方など子宮の入り口が開きにくい方は、手術を安全に行い、次回妊娠や分娩に障害の起こる可能性を予防するために、子宮頸部を開く前処置を午後の診察時間中に行います。その後に、改めて手術の説明などを行います。同意書をご持参ください。前処置のあとは、入浴はダメでシャワーのみ可能です。前日は22時以降絶食となります。自宅が遠い方、手術当日の交通手段が困難な方は一泊入院も可能です。前処置の必要のない方も22時以降絶食(水分は可)となります
  4. 手術当日
    朝食なしの状態で午前中の8時30分ごろに来院していただきます。麻酔の関係で、車、バイクなどの運転はできません。会計を済ませていただき、同意書の確認を行います。その後、一階の個室(病室)にて術衣に着替えていただき、手術室にて血管確保、麻酔前投薬の注射の後、静脈麻酔で疼痛のない状態で手術を行います。約5分〜10分程度の手術です。術後の状態が落ち着けば、個室(病室)にて麻酔が覚めるまで安静にしていただきます。
  5. 手術当日(術後)
    麻酔の効果が切れるまで約2〜3時間安静にしていただき、排尿の後、12時前後に術後の説明を行い、術後の薬をもらってから退院となります。同時に避妊指導も行なっております。
  6. 手術術後
    手術の翌日に来院していただき、子宮内の出血の状態を確認します。手術日と翌日は安静が必要です。その後も出血と排卵の状態の確認のために、2〜3回通院と投薬の必要となることが多いです。翌日からシャワー可能で、出血が少なくなれば、入浴も可能です。手術術後に希望者に経口避妊薬(ピル)の説明と処方を行います。生理は、だいたい術後一ヶ月程度で生じることが多いですが、生理不順の場合は遅れることも多いです。

中期人工妊娠中絶

妊娠12週0日から21週6日までの人工妊娠中絶を中期人工妊娠中絶と言います。中期人工妊娠中絶は入院期間が3~4日必要となり、費用もかかります。自費診療となり、入院時に現金でお支払い願います。

中期中絶術料金

妊娠21週6日まで 462,000円(税込)

(4日間入院の場合、入院個室食事料金、術後3回通院費用と経口避妊薬処方説明料を含む)

当院では、子宮口が固い状態で陣痛をむりに起こすことがないように、入院してから1〜2日間かけて子宮口を軟化する処置を行い、子宮口が十分軟化し、ある程度開いた状態で、翌日、陣痛を起こす薬剤を使用して、比較的短時間の陣痛でほとんど半日~一日以内にあかちゃんを出産していただきます。胎児の出産後に胎盤が娩出されますが、胎盤組織の一部が子宮内に残る場合は、出産後2日目に子宮内掻爬術が必要となることもあります。その後、出血の有無、体力の回復を確認してから退院していただきます。あかちゃんの火葬が必要となりますので、死産届けを区役所に提出し、火葬許可証を発行してもらいます。退院時に、葬儀社に連絡して火葬を依頼することもできます。

当院では手術を受ける方のプライバシーの確保のために個室の病室に入院とさせていただいております。

子宮に対する手術(帝王切開術や子宮筋腫核出術)を受けたことのある方や内科的な合併症のある方は中期中絶術をお受けできない場合もあります。その場合も信頼のおける病院にご紹介いたしますので、ご相談ください。

人工妊娠中絶を繰り返さないためにも、避妊を確実に行うように初期でも中期でも退院前に助産師からピルや子宮内避妊器具(IUD)による避妊相談を行っており、術後早期にピルの処方を行なっております。この場合、ピルの初回指導料はいただいておりません。子宮内避妊器具(IUD)は初回月経終了後に挿入しております。

性感染症チェック

性感染症とは、主に性行為によって感染を生じる病気のことで、代表的なものは以下のようになります。通常の性行為のみならず、口腔、肛門の性行為によって感染することもあり、また一部は母子感染を生じます。主な感染症としては

クラミジア感染症 最も広く流行している。おしもの感染ではおりものの軽度の増加、不快感など。喉の感染では、咽頭の腫脹、咽頭炎など。無症状が多い。内服薬で治療
淋菌感染症 感染力が強く、黄色のおりもの増加、不正出血、咽頭の腫脹、咽頭炎などがあるが、無症状もあり。注射薬で治療
性器ヘルペス感染症 外陰部の水疱、びらん、おしもの痛みを生じる。内服薬と外用薬で治療する。慢性化することもある。主として内服薬で治療
尖形コンジローマ HPV感染の1種。外陰部に小さなイボを作り、増殖する。外用薬や手術療法で治療
トリコモナス症 典型例では泡沫状のおりものの増加。膣錠と内服薬で治療
腟カンジダ症 白色のおりものの増加とおしものかゆみ、ただれ、腫脹。だたし、性行為による感染は少数と考えられる。膣錠と外用薬で主に治療
梅毒 最近増加している。初期は外陰部に硬い腫瘤を作り、その後赤い発疹を生じる。抗生物質の内服で治療
B型肝炎 黄疸、発熱、全身倦怠感など、専門機関で診断治療
C型肝炎 主として血液を介して感染。稀に性行為・母子感染、専門機関で診断治療
HIV 感染後2-3週間後に風邪症状、発熱があり、専門機関で診断治療
HPV感染 子宮頸がんの原因で、無症状、子宮頸がん検診を行う
毛じらみ 外陰部の毛の周辺の腫脹とかゆみ。外用薬で治療

性感染症の予防としてはコンドームが有効で、特にHIV、B型肝炎、C型肝炎などの体液(精液、腟分泌物、血液など)を介する疾患は防止できることが多いです。性感染症により、おりものが増えたり、ニオイが気になったり、おしもが痛かったり、かゆみがあったり、腫れたり、腫瘤や吹き出物ができたなどの症状あるが場合は、保険診療になります。性器ヘルペス感染症と尖圭コンジローマについては、症状がない場合の検査は困難です。

しかし症状があまりない場合でも、これらの病原体が存在する場合がありますので、自費の検査により症状の出る前に検査することができます。

おりものの検査:淋菌、クラミジア、腟カンジダ、細菌等 7,100円
咽頭の検査:クラミジア 4,300円
血液検査:梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎 7,700円
おりものの検査+血液検査:8種類 12,000円
子宮頸がんHPV検査:HPV-DNA検査 5,500円

当院では、検査希望で、特に症状のない方に検査を自費にて行っています。

ブライダルチェック

ブライダルチェックは、結婚・妊娠を意識している方、現在のホルモン状態の気になるかたを対象とした婦人科健診を中心とした健康診断です。特に自覚症状がなくても、将来の妊娠・出産に影響するような疾患が隠れていることがあります。ブライダルチェックでは、血液検査や婦人科健診で、現在の健康状態と将来の妊娠・出産への影響をチェックします。特に、一度も婦人科健診を受けたことがない方、ここ数年産婦人科に受診していない方にお勧めしております。

基本的な検査項目

  1. 問診
  2. 内診と超音波検査で子宮・卵巣のチェック、排卵状態の確認
  3. 子宮がん検査(子宮頸がん)、不正出血あれば子宮体がん検査も
  4. 性感染症検査(分泌物培養、クラミジア・淋菌検査)
  5. 血液検査(梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎、風疹抗体検査:風疹抗体が不明の場合)
  6. 基礎体温測定の勧め
基本費用 15,000円〜 (希望される項目を選択していただきます)

オプション

ハイリスクHPV検査(HPV-DNA検査) 5,500円
ホルモン検査(LH、FSH、E2、プロラクチン、甲状腺機能) 8,000円
卵巣年齢検査(AMH) 8,000円
血液・生化学検査(貧血、高脂血症検査など) 4,300円
心電図検査 2,000円
骨密度測定(足首) 1,000円

などの検査が選択できます。

予約制の検査ですので、まず、お電話にてお申し込みください。外来の空いている時間などをご相談の上、来院していただきます。

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